質屋のヒミツ

質屋さんのいろいろなお仕事。

査定とは…その2

「査定の際、付属品をお持ちください」との記述がある買取店があった。実際に査定額へ影響するのだろうか?質屋さんはどうなんだろう?気になって尋ねてみると、

「あれば助かるなって場合もあります。新品で状態が良いものであれば、多少査定額が上がることもあります。ただ、本体がボロボロなら付属品があっても大きくは変わりませんね。一部ブランド品では付属品がないと買取不可の場合もあるので、ダメ元でも持参するのがおすすめです。とはいえ、最終的にはお店の方針次第ですね。」


なるほど。つまり、付属品があるからといって査定額が大きく変わるとは限らない。ただし、「これは本当にあのショップで購入したものです!」と証明したいなら、なるべく一緒に持って行くべきだろう。場合によっては査定額ゼロを免れる可能性もある。


例えばロレックスなどの高級時計は、数年ごとに「オーバーホール」と呼ばれる修理を受ける。その証明書があれば査定額へしっかり反映されるため、忘れずに持参した方がいい。バッグの査定でも付属品の有無が影響するが、宝石の場合は鑑別書が重要になる。ただし、鑑別会社によって信用度が異なるため注意が必要だ。特にT社の鑑別書は信頼性が高いとされるが、それさえも偽物の流通もあるため査定人の目利きが問われる。まあ、鑑別書が無くても査定はきちんと出来ますのでお値段は出せます、とのこと。安心して持ち込もう。


Aさんによれば、時計の場合は針や塗装の状態、傷、刻印の精度、専用機械による時間のズレをチェックする。電池切れで不動のものや、内部が破損している場合、ほとんどの店では買取不可だが、稀に賭けに出る店もあるので、まずは見せてみる価値はあるだろう。

バッグや服の査定では、ロゴの位置・色・形、縫い目の精度、生地の質感、ファスナーの滑らかさなどが重要になる。これらの判断には経験が不可欠で、査定人にとってはまるで毎日「間違い探し」をしているようなものだという。


さらに査定を難しくしているのが、「スーパーコピー」と呼ばれる偽物だ。驚くほど精巧な作りで、海外製造・通信販売経由で日本に入荷する。販売サイトを見ると偽物にしては高価だが、定価よりは安いため、悪用すれば十分利益を生み出せる。こうした贋作こそが査定人泣かせの代物なのだ。
「だからこそ定期的に勉強会を開き、偽物を見抜くスキルを磨いています。」
査定人と偽物製造者の終わりなき攻防戦——まさにいたちごっこだ。「すごいね……」と思わず声が漏れた。毎日のように変わるルール、なので基本、査定人に「資格」といわれるものは無い。それがある会社は社内資格なのであろう。


もうひとつ査定人を悩ませるのが臭いだ。特にタバコの臭い。強く残る場合、買取や預かりを断らざるを得ないこともある。喫煙者が減少したことで、以前よりも臭いに敏感になっているのかもしれない。コピー品の商品も臭いでわかる場合があるとか。

そういえば以前、メルカリで不用品を出品した際、「ペットなし・喫煙なし」と記載する出品者が多かったのを思い出した。自分も禁煙した途端、周囲のタバコの臭いがやたら気になるようになった。勝手な話である。

ふと疑問が浮かんだ。
「コピー品って、日本国内で売ったら犯罪じゃなかったっけ?」
「そうですね、本来は違法です。ただ、持ち込む人の大半が『人からもらったので気づかなかった』と言い訳するので、基本的にはスルーせざるを得ません。あまりにも悪質ならすぐに通報しますけどね。」


ここで知ったのだが、質屋の開業には公安の許可が必要であり、警察とのつながりが深い業種だという。
「なんとなく金融業って、ちょっとマイナスなイメージがあったよ。」と率直に伝えると、Aさんは苦笑しながら答えた。
「僕もそう思ってました。経営者って怖い人なのかと。でも、実際に働いてみると普通の人たちばかりで、拍子抜けしましたね。」
要するに、カジュアルな銀行のようなもの——


……でも、「1000万円を気軽に借りられる銀行ってどうなんだろう?」とは言わないことにした。

…続く